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卒業論文2007
​卒業論文2008

2007年度は以下の3編の卒業論文が提出された。

①日朝首脳会談をめぐる日朝外交 -外交交渉における抵抗点の観点より-

 

②沖縄ソフト・パワー論 -沖縄振興計画を練るにあたって-

 

③日米地位協定改定に向けての一考察 -日本と韓国の対米地位協定の比較を通して-

 

 

ゼミ論文

①金大中拉致事件にみる日韓関係 -擬似同盟理論を用いて-

 

②日韓共催ワールドカップにおける北朝鮮の政策動向 -ソウルオリンピックと比較して-

 

③慰安婦は強制連行によるものだったか -沖縄から見つめる慰安婦問題-

 

④カンボジアにおける教育資源の方向 -JICAの教育戦略との比較-

⑤日韓国交正常化と朴正熙

 

⑥日韓の歴史教科書問題は解決できるか -東アジア共同体の実現に向けて-

 

⑦国際レジーム論は有効か -北朝鮮核問題を通して-

 

⑧日韓国交正常化交渉 -第7次会談における在日韓国人の法的地位問題の交渉過程-

 

⑨台韓断交における台中関係と台湾外交政策の変遷

 

⑩日韓政府の北朝鮮拉致問題に対する態度の比較分析

2008年度は以下の7本の卒業論文が提出された。

 

①「沖縄の慰安婦たちが語るもの-強制性とは何だったのか」

②「まちづくりとビジネスにおけるスポーツの可能性-FC琉球を事例に」

③「日米開戦の要因分析:プロスペクト理論の視点から-日本の意思決定過程を中心に」

④「メジャーリーグのグローバル戦略-マイナーリーグ化する東アジア」

⑤「対北朝鮮外交の構成主義による分析」

⑥「日本のミサイル防衛導入-冷戦後の国際環境と日本の変化する外交・安全保障政策」

⓻「日韓交渉における在日韓国人の法的地位問題の成立過程-韓国政府による外交文書をもとに」

 

①は、沖縄戦時に本島内にいた朝鮮人慰安婦の状況についてまとめたもので、市町村史の収集および現地でのヒアリングまでおこない、オリジナリティ有する貴重な研究である。②および④はいずれも、スポーツに対して政治学的分析をおこなったもので、いまだ学会でも萌芽的段階であるスポーツ政策学に果敢に取り組んだ野心的論文であった。⑤の論文は、日本の対北朝鮮外交を構成主義(コンストラクティビズム)の視点から分析するというユニークな手法を取っている点で評価できる。また、⑥の論文も同様に、日本のミサイル防衛の導入について、国際関係・国内政治・政策決定者レベルからそれぞれ分析するというユニークな手法で、なぜ日本がミサイル防衛の導入に踏み切ったかについて重層的な分析をおこなった。⓻の論文は、1965年の日韓国交締結時、在日韓国人の法的地位問題に関して日韓政府双方がどのような交渉をおこなったかについて、機密解除された韓国語の新史料を丹念に読み込み分析したもので、新知見までも提示した。彼自身の韓国留学の成果を遺憾なく発揮した論文であった。

 

最終的には、③の論文を当ゼミの優秀論文とした。この論文は、日米開戦の要因について、国際関係論のプロスペクト理論を援用し、日本指導部の開戦決定の本質にどこまで迫れるかを試みたものである。論文の結論として、プロスペクト理論の効用と限界まで指摘したこと、また、欧米の研究者による先行研究に対して、日本語文献資料の読み込み不足等を挙げながら、批判までも加えた点は非常に評価できる。また、欧米の先行研究は、主に英文であったことから、英語の学術論文を精読したことも労が多かったと思われる。開戦決定時の日本指導部の権力関係の分析には、まだ不十分な点が残るものの、それにしても学部の卒業論文のレベルを大きく超えていると言っても過言ではない。

 

結果的には③の論文が選出されたが、以上の7つの論文は、いずれも優秀論文に選ばれてもおかしくないくらいの出来栄えだった。論文を一編しか選べない状況で苦渋したという、指導教官としては、うれしい悩みとなったというのが正直なところである。

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