太陽政策が考え出された背景
後列左:伊藤成彦(中央大学名誉教授)
後列右:金成浩
前列:金大中 (韓国元大統領)
(大統領私邸(ソウル)にて。2005 年5 月撮影)
2005年5月14日、金大中韓国前大統領の私邸(ソウル)にお邪魔し、お話を伺う機会がありました。ちょうど、訪日前のお忙しいそうな時期でしたが、貴重なお話を伺ったので、以下にその時の要旨を紹介しておきます。写真はその時の記念写真です。
●インタビュー内容●(要約)
★北朝鮮外交に関して
-2002年2月、ブッシュ大統領と会談した。北朝鮮を「悪の枢軸」と呼ぶブッシュ大統領に対して、この時、私(金大中)はこのようなを話しをした。
「レーガンはソ連を『悪の帝国』と呼んだが、ソ連と対話した。対話を重ねる中で、結局はソ連は崩壊していった。70年代のヘルシンキ宣言などもソ連を交渉の場に着かせることで、ソ連国内の改革を促す一因となった。このように、共産主義国家に対しては、対話を通し改革を促すことが重要だ。たとえば、米国はキューバに対しては50年あまり経済封鎖をおこなったが、キューバは崩壊していない。米国はべトナムで戦争しても、共産主義をくい止めることはできなかった。中国の改革開放を促したのも、米国が国交締結に動いたことがきっかけとなった。共産主義を『封じ込め』によって、崩壊させることはできないということは、歴史が証明している。北と対話し改革開放させることが重要である」と。
中国は体制を維持したまま改革開放に成功した。また、韓国も以前は軍事独裁政権だったが改革開放して民主化に成功した。北朝鮮も改革開放によって民主化の道を探すべきだ。
★六カ国協議と核問題に関して
-北朝鮮には国際観がない。六カ国協議に戻るべきで、押したり引いたりすることを繰り返すのは、近隣国の北朝鮮への不信感を助長するだけだ。核問題の解決はある意味簡単だ。北朝鮮が核査察を受け入れ核放棄のカードを切り、米国は核放棄の見返りに何らかを与えるカードを切る。双方の切るカードが揃えばこの問題は解決する。しかし、現在、米国は何のカードを切るか示していない。この状態ではゲーム(交渉)は成立しない。
★北朝鮮拉致問題に関して
-拉致は人権の重大な蹂躙である。金正日はこの問題に関して謝罪したのだから、日本の国民が納得するまで徹底的に問題解決に協力するべきだ。
★金大中・前大統領の北朝鮮再訪に関して
-北朝鮮を再度訪問することに関してだが、北朝鮮に聞く耳があれば行ってもよいが、聞く耳がなければ行っても仕方がない。
★日本政治問題
-日本の若い政治家に右傾化が傾向がある。これは日本の歴史教育に問題がある。ドイツは徹底的に歴史教育を通じて反省し、EUやNATOにも参加が認められた。英米仏などがドイツの姿勢に安心したためである。このままでは、日本は近隣諸国と孤立してゆく。日本の今の政治状況はある意味で絶望的な状況にあるように思う。